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EMS / KAATSU TRAINING

EMS・加圧トレーニングの開業|機器を入れて回収するビジネスの地図

EMS・加圧トレーニングの開業は、広い物件や大型マシン群をそろえる業態とは性質が違います。事業の主役は内装でも立地でもなく、1〜数台の専用機器です。だから判断の中心になるのは「この機器をどう選び、どう支払い、何で回収するか」と「資格や安全体制に何が要るか」、そして「単独で店を開くか、いまの店に1台足すか」です。このページは、その三つを一枚で見渡すための地図です。

月会費(顧客)
15,000〜25,000円
初期投資(目安)
500万〜1,500万円
セッション
20〜30分・予約制
投資回収(目安)
2〜5年

監修: 山本貴大(店舗マーケティング専門家) / 公開日 2026年6月15日 / 数値は業界目安

EMSと加圧は、開業の入り口が違う

どちらも「短時間で取り組める」点を価値にする業態ですが、開業の準備という観点では入り口が分かれます。EMSは体に電気刺激を流して筋肉を動かす方法で、実施に必須の公的資格はありません。加圧は専用ベルトで血流を適度に制限して行う方法で、専門の認定資格と専用機器が前提になることが多い方法です。同じ短時間業態とくくらず、参入のハードルが別物だと押さえておくと、準備の見通しが立ちます。

観点 EMS 加圧トレーニング
方法 体に電気刺激を流して筋肉を動かす 専用ベルトで腕脚の血流を適度に制限して行う
資格・体制 実施に必須の公的資格はないが、電気刺激の禁忌(ペースメーカー・心疾患・妊娠中など)の確認と安全配慮が要る 専門の認定資格と、それに紐づく実施基準・専用機器が前提になることが多い
機器の入手 機器メーカーから購入・リースで導入できる 加圧を扱う団体・メーカー経由で、認定とセットで機器を導入する形が一般的
始めやすさ 資格要件が軽い分、設備と安全体制を整えれば比較的着手しやすい 認定取得という入り口があるため、準備期間と費用を先に見込む

どちらの方法でも、利用者の体調や既往(禁忌の確認を含む)に応じた配慮が必要で、効果には個人差があります。資格や機器の最新の要件は、機器メーカーや関連団体の情報で確認したうえで準備を進めてください。

機器を入れて、どう回収するか

この業態の売上は、機器の台数 × 1日に回せる予約枠 × 稼働率 × 単価で決まります。会員を何百人も集める設計ではなく、限られた枠を埋め、継続してもらうことで機器代を回収していく構造です。下表は、機器2台・1日6枠・営業25日・稼働率6割というモデルケースで、月商の目安を逆算したものです。

稼働できる枠(2台 × 6枠 × 営業25日) 月 300枠
実際に埋まる割合(稼働率の目安 6割) 月 約180セッション
1セッション単価(回数券・月会費を1回換算) 約8,000円
月商の目安 約1,440,000円

ここから家賃・人件費・機器代(購入なら償却、リースなら月額)・水道光熱費・集客費を引いた残りが利益です。注目したいのは、機器を増やさない限り枠の上限は動かない点です。だから「枠を何割埋められるか(稼働率)」と「続けてもらえるか(継続率)」が、回収のスピードをほぼ決めます。機器メーカーが示す回収の試算は機器販売を前提にしていることが多いので、自分の稼働率と単価で組み直すのが安全です。

機器は買うか、借りるか

機器が事業の主役だからこそ、その支払い方が開業直後の資金繰りを左右します。少資本で始められる業態でも、機器を一括で買うか、リースで月々払うかで、手元に残る現金がまるで違ってきます。

購入(手元資金は減るが総支払いは軽い)

最初に現金が大きく出ていく代わりに、月々の固定支出がなく総支払いを抑えられます。自分の資産として持てるため、長く使う前提なら回収後の利益が厚くなります。手元資金に余裕があり、機器を頻繁に入れ替えない場合に向きます。

リース(初期は軽いが総支払いは増える)

初期の手元資金を厚く残せる代わりに、月額が固定費として乗り続け、総支払いは購入より増えます。機器の更新を柔軟にしたい、開業初期の運転資金を確保したい場合に向きます。稼働が読めないうちは、固定費が増える点に注意します。

単独で開くか、いまの店に足すか

EMS・加圧の現実的な入り口は、二つあります。専門店として単独で開くか、いまある店に機器を1台足すか。検索すると「EMS導入」が整骨院・サロン向けの情報で多く出てくるのは、後者の併設ルートが実際に多いことの表れです。自分にどちらが向くかは、自己資金・既存客の有無・指導体制で決まります。

01

単独でEMS・加圧の専門店を開く

店名・料金・接客を自分で設計でき、業態として打ち出せます。一方で集客・物件・運転資金をゼロから背負うため、機器が遊ぶ最初の数ヶ月を耐える資金が要ります。少席のため、最初から会員を埋め切る集客設計が前提になります。

向きやすいのは:自己資金に余裕があり、自分の屋号でブランドを作りたい人

02

いまの店(パーソナル・整骨院・エステ・サロン)に1台足す

既存の来店客と空き時間に機器を当てるため、新規集客をゼロから起こさずに導入できます。SERPで「EMS導入」が治療院・サロン向けに占有されているのは、この併設ルートが現実に最も多いことの裏返しです。既存サービスとの料金・時間のすみ分けが設計の肝になります。

向きやすいのは:既に顧客基盤があり、客単価や来店頻度を上げたい既存店オーナー

併設で確認したいこと

  • すみ分け既存メニューと時間帯・料金が食い合わないよう、EMS・加圧をどの客層・どの時間に当てるかを先に決めます。
  • 体制誰が実施・説明するか、加圧なら認定をどう用意するかを、既存スタッフの稼働とあわせて確認します。

少席・高単価ゆえに、どこでつまずくか

EMS・加圧でつまずく原因は、業態の構造に沿って3つに集まります。少ない席を高単価で売り、機器で回収するという特性が、そのまま弱点にもなります。

機器が遊ぶと固定費だけ残る

売上は機器台数と予約枠で物理的に頭打ちになる一方、機器代(購入なら償却、リースなら月額)は稼働ゼロでも出ていきます。少席業態は「会員を増やす」より「限られた枠を埋め、継続させる」設計を外すと、機器が遊んで固定費だけが重くなります。

安全・禁忌への配慮を欠くと事業リスクになる

EMSは電気刺激の禁忌(ペースメーカー・心疾患・妊娠中など)の確認、加圧は血流を制限する性質上の体調・既往への配慮が欠かせません。問診や説明を整えずに始めると、利用者の安全だけでなく事業の信頼そのものを損ないます。加圧は認定資格と実施基準の確認も必要です。

単価の天井を集客では超えられない

1台=1〜2名・1枠20〜30分という構造上、来客を増やしても枠が増えないため、売上は枠の上限で止まります。伸ばす余地は限られ、機器を足す・営業時間を延ばすといった枠そのものを増やす手か、継続プランや併用メニューで単価を上げる手のどちらかに絞られます。会員数を追う発想だけでは頭打ちになります。

開業の進め方・資金を確認する

機器の選定・支払い方が決まったら、事業計画・物件・資金調達の全体像に進みます。開業の段取りと、創業融資・補助金で機器投資をどう賄うかは、それぞれのページにまとめています。公庫の開業費用データの読み方は、機器中心の小規模開業に合わせて§下の出典で補足しています。

よくある質問

Q. EMSと加圧トレーニングは、開業の準備で何が一番違いますか?
一番の違いは参入の入り口です。EMSは実施に必須の公的資格がなく、機器の導入と安全体制を整えれば比較的着手しやすい方法です。加圧は専門の認定資格と、それに紐づく実施基準・専用機器が前提になることが多く、認定取得の期間と費用を先に見込む必要があります。どちらも電気刺激の禁忌や血流制限への配慮など、安全に実施するための体制づくりは共通の前提です。
Q. EMS・加圧の開業に資格は必要ですか?
EMSは実施そのものに必須の公的資格はありませんが、電気刺激の禁忌(ペースメーカー・心疾患・妊娠中など)を確認し、安全に指導できる知識は欠かせません。加圧は専門の認定資格と専用機器が前提になることが多く、扱う団体・メーカーの最新の要件を確認したうえで準備します。いずれも、利用者の体調や既往に応じた配慮が求められます。
Q. 単独で店を開くのと、いまの店に併設するのは、どちらが現実的ですか?
既に顧客基盤がある整骨院・パーソナルジム・エステ・サロンなら、空き時間に機器を1台足す併設のほうが、新規集客を起こさずに始められる分だけ現実的なことが多いです。検索しても「EMS導入」が治療院・サロン向けに多く出てくるのは、この併設ルートが実際に多いためです。単独店は屋号や料金を自由に設計できる一方、集客と運転資金をゼロから背負うため、自己資金と集客設計の準備が前提になります。
Q. 機器は購入とリースのどちらがよいですか?
現金に余裕があり長く使う前提なら、総支払いを抑えられる購入が向きます。初期の手元資金を厚く残したい、機器の更新を柔軟にしたい場合はリースが向きます。少資本で始める業態だからこそ、機器の支払い方が開業直後の資金繰りを左右します。台数・グレード・契約条件で変わるため、複数のメーカー・リース会社の条件を並べて比べてください。
Q. EMS・加圧の開業にはいくらかかりますか?
小区画・機器中心の構成のため、業界の目安では500万〜1,500万円程度から検討されることが多い業態です。機器の台数・グレード、内装、加圧であれば認定取得の費用で変わります。本記事では特定本部・メーカーの数値は扱いませんので、具体的な見積もりは機器メーカーや団体の資料、事業計画で確認してください。

関連する業態の選択肢

機器ではなく人の指導で高単価を取りたいなら パーソナルジム が近い選択肢です。同じく小区画・少席で、体のケアやコンディショニングを有人で提供するなら ストレッチ専門 も比較対象になります。EMS・加圧が「機器で回収する」のに対し、これらは「人の技術で回収する」業態という違いを踏まえて選んでください。

データ出典・注記

  • 月会費・初期投資・回収期間・回収モデルの数値は、各社公開情報・業界誌・公的統計をもとに 2026年6月時点で集約した業界目安・モデルケースです。特定の店舗の実績を示すものではありません
  • 開業費用の参考として、日本政策金融公庫総合研究所「新規開業実態調査」の平均975万円・中央値600万円(自己資金22.9%・金融機関等借入67.9%)がよく引用されます。これは全業種(公庫融資先)の値で、フィットネス業に限定したものではありません。EMS・加圧は機器中心・小区画で始めやすいため、実勢に近いのは中央値600万円で、本ページの目安はそれより下振れします
  • EMS・加圧トレーニングの効果には個人差があり、利用者の体調や既往に応じた配慮が必要です。EMSは電気刺激の禁忌(ペースメーカー・心疾患・妊娠中など)の確認、加圧は血流を制限する性質上の配慮と、専門の認定資格・専用機器の要件確認が欠かせません。安全な実施には機器メーカーや関連団体の最新情報をご確認ください
  • 機器・設備の費用や加盟・認定の条件は、メーカー・団体ごとに異なります。本記事では特定本部・メーカーの数値は扱いません