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BUDGET 24H GYM

格安24時間ジムという業態|なぜ月3,000〜6,000円で本格マシンが成り立つのか

格安24時間ジムは、月会費3,000〜6,000円台という、標準的な24時間ジムの半額に近い価格帯で、chocoZAP に代表される低価格業態に本格的なマシン環境で対抗する形態です。FIT PLACE24・ECOFIT24・FIT365・LifeFit などが代表で、徹底した無人化と大きな商圏、複数店舗を持つチェーンの規模で、この安さを成立させています。安さの裏にある仕組みを分解して理解すると、自分が参入するなら格安帯なのか、標準帯なのか、別の業態なのかという「どの価格帯で戦うかの選び方」が見えてきます。このページは、その地図です。

格安24時間ジムを読む前に

  • 安さは値下げでない無人化・大商圏・チェーンの規模で作り込まれた、薄利多売の仕組みの結果
  • 単店では再現しにくい低単価は会員数を見込める立地と規模が前提で、個人の単店だと損益分岐に届きにくい
  • 開業の本体は標準帯開業の進め方・資金・無人運営の実務は、標準的な24時間ジム側で深掘りすべき
月会費
3,000〜6,000円台
商圏人口(目安)
5万〜10万人
会員数目安
500〜1,000人
投資回収(目安)
4〜8年

監修: 山本貴大(店舗マーケティング専門家) / 公開日 2026年6月15日 / 数値は業界目安

安さは何で作られているか|徹底無人化・大商圏・チェーンの規模

標準的な24時間ジムの月会費が7,000〜12,000円であるのに対し、格安帯はその半額近い3,000〜6,000円台で、同等以上の本格マシンを置きます。なぜそんなことができるのか。答えは、設備の質を落としているからではなく、低い単価でも手元に残るよう、運営・規模・チェーンの3つを徹底して作り込んでいるからです。標準帯が重い設備に投じて無人運営で回収していくのに対し、格安帯は1人あたりの単価をあえて捨て、会員数とスケールで取り返す収益設計をとっています。安さの正体を、この3つの層に分けて見ていきます。

01

運営の層

無人化を、標準より一段深くする

標準的な24時間ジムも無人運営を取り入れていますが、格安帯はそこからさらに踏み込みます。標準帯が残しがちな朝夕のスタッフ常駐すら最小化し、入退室の認証・決済・問い合わせ対応をできるだけ仕組みに寄せます。人件費を削れるだけ削ることで、月会費を半分近くまで下げても手元に残る原価構造をつくります。

02

規模の層

会員を見込める大商圏で“面”を取る

1人あたりの月会費が低いぶん、採算に必要な会員数は標準帯より多くなります。そのため、商圏人口5万〜10万人という、標準的な24時間ジムが想定する3万〜8万人より広い商圏を前提にし、50坪以上の大きめの区画で会員500〜1,000人を積み上げます。安さは、この大商圏・大区画で多くの会員を集める前提とセットで初めて成り立ちます。

03

スケールの層

チェーンの規模で1店舗あたりの原価を下げる

マシンの一括調達、認証・決済システムの共通化、広告の共通運用といった、複数店舗をまとめて持つチェーンならではの規模が効きます。1店舗だけでは交渉できない仕入れ値や、店舗ごとに作り直さずに済む運営の型が、単店ではたどり着けないコスト水準を可能にします。

この3つがそろって初めて、月3,000〜6,000円台でも本格マシンを置いた事業として回ります。逆に言えば、どれか一つでも欠けると、安さだけが残って採算に届きません。とくにチェーンの規模は、本部を持たない単店ではそのまま使えないため、安さを成り立たせるうえでの最大のハードルになります。

同じ“安い”でも作り方が違う|格安24時間ジム・標準24時間ジム・コンビニジム

セルフ系のジムは、料金を横並びにすると安い順に見えてしまいますが、大事なのは「その価格をどうやって成立させているか」です。同じ24時間・セルフ系でも、格安24時間ジム・標準的な24時間ジム・コンビニジムは、安さや高さの作り方、収益の取り方、狙う客層が異なります。料金順ではなく、価格の“作り方”という軸で並べると、自分の資金と立地でどの価格帯に立てるかが見えてきます。

格安24時間ジム 標準24時間ジム コンビニジム
安さ/高さの作り方 徹底無人化×大商圏×チェーンのスケールで薄利多売 充実マシン+朝夕の有人対応で中単価を保つ 軽量マシン+複合サービスへの送客で超低単価
月会費の目安 3,000〜6,000円台 7,000〜12,000円 2,980〜3,278円(税込)
マシン・設備 本格マシンを一定そろえる 本格志向で充実させる 軽量・最小限+セルフ美容など複合
収益の取り方 低単価を会員数(規模)で取り返す 中単価の会費を積み上げる 会費の外の複合メニューで稼ぐ
狙う客層 価格は重視するが本格的に鍛えたい層 しっかり鍛えたいトレーニング層 運動未経験・ついで運動のライト層

この表の要は、3業態とも「安く見せる」のではなく、別々の方法で価格を成立させている点です。格安帯は規模で薄利を取り返し、標準帯は中単価の会費を積み上げ、コンビニジムは会費の外の複合メニューで稼ぎます。標準的な24時間ジムの開業の進め方や資金は 24時間ジム開業のガイド に、コンビニジムが複合サービスで超低単価を作る仕組みは コンビニジム開業の全体像 にまとめています。

個人が単店で同じ価格を出せない理由|格安帯は“面”の戦い

消費者向けの比較記事は「どこが安いか」を並べますが、開業を考える側にとって本当に効くのは「自分が同じ安さを出せるのか」という問いです。格安帯の月会費は、1店舗の工夫で生まれた値ではなく、複数店舗をまとめて持つチェーンが商圏と区画を面で押さえ、そのスケールで原価を削ってはじめて成り立つ価格です。だからこそ、面を持たない個人が単店で同じ月会費を掲げると、最初から不利な土俵で戦うことになります。

単店でつまずくのは、仕入れと固定費の両面です。マシンの一括調達やシステムの共通化で原価を下げているチェーンに対し、単店ではその仕入れ値も運営の型も使えず、設備コストが割高なまま残ります。一方で会員一人あたりの月会費は低く設定するため、損益分岐に届く会員数は標準帯より多く必要になります。広い商圏と大きめの区画で会員を積み上げきれなければ、家賃と設備の固定費だけが先に立ち、低単価が利益をさらに薄くします。立地で会員数の上限が決まる装置産業の性格を、薄利の構造がもう一段きつくしている状態です。

だからといって、格安帯への参入が閉ざされているわけではありません。フランチャイズに加盟して本部のスケールに乗り、個人オーナーとして格安店を運営する道はあります。ただしそれは「自分の安さで価格勝負する」のとは別物で、本部の規模を借りる形です。少ない資金でリスクを抑えて始めたいなら、安さで殴り合う格安帯に正面から入るより、標準的な24時間ジムやパーソナルジムで構えを作るほうが、個人には現実的な選択になります。

chocoZAPが広げた裾野の上で、格安24時間ジムはどこに立つか

格安24時間ジムという価格帯が形になった背景には、コンビニジムの存在があります。chocoZAP や FIT-EASY に代表される、月3,000円前後の超低単価にセルフ美容や娯楽を併設した複合型ジムが、運動に縁のなかった層まで一気に取り込み、フィットネスの裾野を大きく広げました。市場全体の規模はおよそ5,040億円で、こうした低価格業態が新しい客層を掘り起こしてきたことが、価格競争の土台になっています。市場規模の推移は市場データで確認できます。

格安24時間ジムは、その裾野の上で「安いけれど、ちゃんと鍛えられる」という位置を取りにいきます。コンビニジムが軽量マシンを“ついで運動”の入口にしているのに対し、格安帯は本格マシンを一定そろえ、価格は重視するが本格的にトレーニングしたい層を狙います。同じ低価格でも、コンビニジムが「運動未経験層を複合サービスで掴む」設計なのに対し、格安24時間ジムは「価格重視の本格トレーニング層を会員数の規模で掴む」設計で、狙う客層と差別化の核がちょうど逆になっています。

この設計思想の違いは、開業する側にとって「誰に、何で選ばれるか」を分ける重要な分岐点です。複合サービスで超低単価を作るコンビニジムの収益構造は コンビニジム開業の全体像 で詳しく扱っているので、低価格帯のなかでどちらに寄せるかを考えるときに読み比べてください。

もし格安帯で参入するなら|FC本部のスケール・大商圏の資本・棲み分けを見極める

ここまで見てきたとおり、格安帯は「安く出す」こと自体が、規模とスケールを前提にした難しい挑戦です。開業の手順に入る前に、そもそも自分が格安帯という価格戦略を選べる立場にあるかを、FC本部のスケールに乗れるか・大商圏と大区画を取れる資本があるか・価格で殴り合わない棲み分けを描けるか、という観点で見極めておくと回り道を避けられます。これは開業の進め方そのものではなく、その手前で「どの価格帯で戦うか」を決めるための見極めです。

FC本部のスケールに乗れるか

格安帯の安さは、マシンの一括調達やシステムの共通化といったチェーンの規模が支えています。単独で始めるとこの規模が効かず、同じ価格は出しにくくなります。多くの場合はフランチャイズに加盟し、本部のスケールに乗る形になりますが、その本部が一括調達や集客の仕組みを本当に持っているかを、加盟前に見極めます。

大商圏×大区画を取れる資本があるか

低単価を会員数で取り返すには、商圏人口5万〜10万人の広い商圏と、50坪以上の大きめの区画を押さえる必要があります。賃料も投資も標準帯より重くなり、損益分岐の会員数に届くまでの運転資金も厚く要ります。この規模を抱えられる資金があるかが、格安帯で戦えるかの分かれ目です。

標準帯と価格で殴り合わないポジションを描けるか

近隣にすでに格安チェーンがあれば、さらに安くして価格で勝負しても消耗戦になりがちです。価格以外で選ばれる理由、たとえば立地の良さや設備の差を描けないなら、格安帯に正面から入るより、標準帯やパーソナルジムで構えを変えるほうが現実的です。

3つとも満たせるなら、格安帯はチェーンの仕組みに乗って戦える土俵です。逆に、規模や資本の面で一つでも届かないなら、価格で殴り合う格安帯を無理に選ぶより、設備や指導で価値を出せる標準的な24時間ジムやパーソナルジムのほうが、力を活かせます。いずれにしても、開業の進め方・資金・無人運営の実務は、価格戦略を決めたあとで標準帯のガイドに沿って深掘りするのが順序です。

開業の本体は標準24時間ジムにある|深掘りの入り口

格安帯はあくまで価格戦略の研究で、開業を実際に進める段になると、進め方・資金内訳・無人運営の実務・利益の仕組みは、標準的な24時間ジムの側に集約されています。価格戦略を決めたら、知りたいテーマから読み進めてください。

よくある質問

Q. なぜ格安24時間ジムは月会費を安くできるのですか?
値下げしているのではなく、安く出せる仕組みで成り立っています。標準的な24時間ジムが残しがちな朝夕のスタッフ常駐まで最小化して人件費を削り、会員を見込める大商圏と大きめの区画で会員500〜1,000人を積み上げ、複数店舗を持つチェーンの規模でマシンやシステムの原価を下げています。1人あたりの単価を低く抑える代わりに、会員数で取り返す薄利多売のモデルです。
Q. 格安24時間ジムは個人で開業できますか?
一店舗だけを単独で始める形では難しい業態です。低い月会費を会員数で支えるには、広い商圏と大きめの区画、複数店舗を回すチェーンの規模が前提になり、個人が単店で同じ価格を出すと損益分岐に届きにくくなります。フランチャイズに加盟して個人オーナーとして運営する道はありますが、自分の安さで殴り合う土俵ではありません。少ない資金でリスクを抑えて始めたいなら、標準的な24時間ジムやパーソナルジムのほうが現実的です。
Q. 格安24時間ジムとコンビニジムは何が違いますか?
同じ低価格帯でも、安さの作り方と狙う客層が逆向きです。格安24時間ジムは本格マシンをそろえ、価格は重視するが本格的に鍛えたい層を、会員数の規模で取り込みます。コンビニジムはマシンを軽量・最小限にし、セルフエステなどの複合サービスへ送客して、運動未経験のライト層を集めます。格安帯は「安くても本格的に鍛えられる」、コンビニジムは「ついで運動の入口」と、差別化の核そのものが違います。
Q. 格安24時間ジムの開業にはいくらかかりますか?
本格的なマシンと50坪以上の区画を前提にすると、業界の目安ではおおむね3,000万〜8,000万円規模になります。大商圏で大きめの区画を押さえるぶん、標準的な24時間ジムより重くなる傾向です。マシン・内装・物件取得・フランチャイズ加盟の有無で大きく変わるため、本記事では特定本部の数値は扱いません。資金の内訳と調達は24時間ジムの開業資金の記事で扱い、具体的な見積もりは各本部の公式加盟資料と自身の事業計画で確認してください。

データ出典・注記

  • フィットネス市場規模(約5,040億円・2021年、うちBtoC約88%)は経済産業省「経済センサス活動調査」をもとにした数値です。市場規模の推移は市場データで扱っています
  • 月会費・商圏人口・会員数・初期投資・回収期間などの数値は、各社公開情報・業界誌・公的統計をもとに 2026年6月時点で集約した業界目安です。月会費は税込での目安です(例:chocoZAP は税込3,278円・税抜2,980円)。店舗・時期により料金は変わります
  • 開業の目安(業界目安で約3,000万〜8,000万円)は本格マシンと50坪以上の区画を前提にした業態モデルのレンジで、特定の店舗・本部の実績を示すものではありません。資金の内訳と調達は24時間ジムの開業資金で扱います
  • ブランド名(FIT PLACE24・ECOFIT24・FIT365・LifeFit ほか)は代表例として挙げたもので、chocoZAP・FIT-EASY はコンビニジムの例・比較対象として言及しています。加盟条件・店舗数・直営とFCの比率を保証する記載ではありません
  • フランチャイズの加盟金・初期投資・対象(法人/個人)は本部ごとに異なります。最新条件は各本部の公式加盟資料で確認してください
  • 個人での開業は不可能という意味ではなく、低単価が大商圏・大区画・チェーンの規模を前提とするため一店舗での再現が難しいという趣旨です。少資本で小さく始める場合は、標準的な24時間ジムやパーソナルジムなど別の業態が現実的です