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INDOOR GOLF / PROFIT

インドアゴルフ経営は儲かる?収益構造の現実

インドアゴルフの収益は、打ち放題の月額会員を土台に、レッスンやスクールで客単価を重ねる構造です。ただしこの業態には、打席という物理の天井と、シミュレーターという装置の重さが同時にあります。打席の数で抱えられる会員数に上限が来る一方、無人のセルフ利用なら営業時間を伸ばして延べ稼働を増やせます。月会費13,000円・固定費90万円・3打席のモデルケースで損益分岐は約70人。打席の天井と装置の償却という二つの軸で、儲かるかどうかを費目の実数で分解します。

簡易利益率(控除前)
約23〜37%
損益分岐
会員約70人
会員数の天井(3打席)
約100〜110人
シミュレーター
1台100〜400万円

監修: 山本貴大(店舗マーケティング専門家) / 公開日: 2026年6月20日 / 数値はモデルケースの目安で、収益を保証するものではありません

打席の数が、抱えられる会員数の上限を先に決める

インドアゴルフの利益率を考えるとき、最初に押さえるのは、売上に物理的な上限があることです。打ち放題の会員が同時に打てるのは打席の数までで、打席は内装と機器で固定されています。1人がどれだけ通うか(来店頻度)にも限度があり、営業時間の長さで延べの打席稼働も決まります。この掛け算で、1店舗が抱えられる会員数には自然な天井が生まれます。会員を増やせばいくらでも売上が伸びる業態ではありません。

打席数 会員数の天井目安 何が上限を左右するか
2打席 約60〜80人 ビルの小区画・駅近で始めやすい規模。ピーク時間の打席の取り合いが早く起き、レッスンと打席利用の両立が難しくなりがちです
3打席 モデルケース 約100〜110人 本記事のモデルケース。営業時間を長く取り、来店時間を平準化できるほど、この上限に近づけられます
4打席 約140〜160人 打席が増えるぶん上限は上がりますが、シミュレーターの台数と家賃も重くなり、損益分岐そのものが後ろへずれます

ここで効いてくるのが、インドアゴルフが無人のセルフ利用を組みやすい業態だという点です。講師が立っている時間にしかレッスンを開けないヨガ教室の収益構造は、客席が講師の稼働時間に縛られます。これに対してインドアゴルフは、打席さえ空いていれば会員が自分で予約して打てるため、早朝・深夜まで営業時間を伸ばして延べ打席稼働を増やせます。動かせないのは打席という物理席数のほうで、伸ばせるのは1席あたりの稼働時間のほう、という分け方が、この業態の天井の考え方です。だから収支は、会員数を青天井に増やす話ではなく、限られた打席をどれだけ長く・どれだけ均(なら)して埋められるか、という視点で読みます。

会員数別の月次収支と、損益分岐約70人の越え方

月会費13,000円・固定費900,000円/月(家賃・電気・シミュレーター保守・省人人件費・予約システム・広告ほか)の3打席モデルケース。損益分岐は約70人です。シミュレーターのリース料・借入返済は固定費に含めず(回収側で考えます)、下表は会員の月会費のみで有料レッスンの売上も含めていません。

会員数 月商(会員のみ) 簡易営業利益(月)
40人 520,000円 −380,000円
70人(損益分岐) 910,000円 10,000円
90人 1,170,000円 270,000円
110人(天井の目安) 1,430,000円 530,000円

固定費の多くは会員が増えても大きくは変わらないため、損益分岐の約70人を超えると、増えた月会費がそのまま簡易営業利益に乗っていきます。ただしこの表は、会員をいくらでも増やせる前提では読みません。前の章のとおり、3打席で抱えられる会員数はおおむね100〜110人で天井に当たります。つまり利益は、損益分岐の約70人と天井の約110人のあいだの、わずかな余白で生まれます。会員90人なら簡易営業利益は約27万円(簡易利益率およそ23%)、110人なら約53万円(およそ37%)です。会費だけでこの余白を広げるのは難しいため、ここに有料レッスンの売上をどれだけ重ねられるかが、儲けの伸びを決めます。たとえば月20〜40万円のレッスン売上を上乗せできれば、同じ打席のまま収益は大きく変わります。なお簡易営業利益は、シミュレーターのリース料・借入返済・オーナー報酬・税・設備償却を差し引く前の値です。

打ち放題の会費は、打席の天井に当たって頭打ちになる

会員数の天井が約110人だとすると、打ち放題の月会費だけで作れる月商には、はっきりした上限があります。そこから先を伸ばすには、同じ打席から得られる客単価を上げるか、空いている時間帯の打席を別の収益で埋めるかの、どちらかしかありません。下表は、インドアゴルフで足せる主な収益源を「打席の使い方」と「天井をどう外すか」の軸で並べたものです。多くが打席を使う点が、席を使わない収益も組めるヨガとの違いで、だからこそ稼働の谷をどう埋めるかが鍵になります。

収益メニュー 単価感 打席の使い方 天井をどう外すか
打ち放題の月額会費 中単価(月1万円台) ピーク時間の打席を奪い合う 収益の土台。ただし打席数がそのまま会員数の天井になり、単独では頭打ちになります
個人レッスン(マンツーマン) 高単価 1打席をコーチ付きで占有 客単価を数倍に引き上げます。代わりにコーチ1人の指導時間という別の天井に当たります
スクール・ジュニア育成 月謝・中〜高単価 平日昼・夕方の空き打席 稼働の谷に固定客を載せ、延べ打席稼働を底上げします。会費頼みから抜ける主力です
コンペ・打ち比べイベント 単発・中単価 短時間に打席を集中利用 会員以外を呼び込み、認知と新規入会のきっかけを作ります
法人・福利厚生会員 1契約で複数名 昼間の空き打席に分散 企業需要で日中の谷を埋め、個人会員と利用時間帯がぶつかりにくくなります
ビジター利用(打席の時間貸し) 都度・低〜中単価 空き時間の打席を切り売り 会員になる前のライト層を売上に変え、空き打席を遊ばせません

天井をいちばん大きく外せるのは、スクール・ジュニア育成と法人会員です。どちらも平日昼や夕方という、個人の打ち放題会員が手薄な時間帯に固定の利用を載せられるため、ピークを混ませずに延べ打席稼働を底上げできます。個人レッスンは客単価を数倍にしますが、コーチ1人の指導時間という新しい天井に当たるため、天井外しというより単価の底上げと捉えるのが正確です。打席そのものに縛られない収益としては、シミュレーターが記録したスイングデータを使ったオンラインの動画診断もありますが、これは対面の補完にとどめ、まずは空き打席を埋める設計から組むのが現実的です。足が遠のいた会員の引き止めや体験からの入会づくりといった集客面はジムの集客方法で扱います。

シミュレーターの償却が、簡易利益率と実際の手残りの差を生む

インドアゴルフのもう一つの軸が、シミュレーターという装置の重さです。シミュレーターは抑えめのグレードでも1台100〜300万円、商用の高性能機では1台400万円を超えることもあり、打席の数だけ必要になります。これに防音・内装・予約システムが加わると、初期投資は小規模でも数百万円から、複数打席・本格内装では3,000万円を超える規模まで動きます。この装置の償却とリース・返済が、毎月の負担として収益に重くのしかかります。

そのため、簡易利益率の数字は額面どおりには受け取れません。本記事の簡易利益率(会員90人で約23%、110人で約37%)が高めに出るのは、受付を省人で回せるうえに、シミュレーターの償却・リース料・借入返済・オーナー報酬を差し引く前の数字だからです。これらを会計上の費用として落とすと、実際の手残りは簡易利益率よりはっきり低くなります。フィットネスクラブやヨガ教室には会計上の営業利益率の業界指標もありますが、抱える設備がマシン群やスタジオではなくシミュレーターである室内ゴルフに、そのまま当てはめるのは前提が異なります。だから本記事はあえて簡易利益率で示し、手残りはそこから一段下がる前提で読んでください。さらにシミュレーターは、家賃のように一定額が続くだけの固定費とは性質が違い、陳腐化のリスクを抱えます。弾道計測やコースシミュレーションの技術は更新され続けるため、数年で打席の機器が見劣りし、買い替えという二度目の投資が要ります。償却が終わる前に次の投資時期が来てしまう、という重さです。回収までの年数は会員数・打席稼働・返済額しだいで、本部が出す試算にも幅があります。一律の回収年数をあてにせず、自分の打席数・客単価・固定費で見極めるのが前提です。シミュレーター中心の初期投資の費目別の内訳や、創業融資・補助金を使った資金の組み方は インドアゴルフの開業資金 にまとめています。ここでは、その装置の重さが毎月の利益率と手残りにどう効くかに絞って見ていきます。

利益率が崩れる起点

利益率が伸びないインドアゴルフには、いくつか決まったつまずき方があります。どれも、打席という増やせない天井と、シミュレーターという買い替えの要る装置を同時に抱える、この業態ならではの事情から起きます。先につまずき方の型を知っておくと、自分の店がどこに近いか、どこから直せばよいかの見当がつきます。

  • 予約がピーク時間に偏り、平日昼の打席が空いたままになる

    打席は増やせないのに、稼働しているのは朝晩と週末だけ、という偏りは利益率を直接削ります。同じ3打席でも、空いている時間帯を埋められているかどうかで、抱えられる会員数の天井に届くかが変わります。延べ打席稼働を上げる鍵は、混む時間ではなく空く時間にあります。

  • 客単価が低いまま頭数だけ追い、打席の天井に早く当たる

    打ち放題会員だけを増やそうとすると、レッスンやスクールで単価の層を重ねないまま、打席の物理上限へ先に届いてしまいます。打席が埋まっているのに利益率が上がらない、という忙しい赤字に陥りやすい起点です。

  • シミュレーターを過剰投資して、償却が会員数に見合わない

    狙う客層に対して高グレード機を入れすぎたり、見込みより打席を増やしすぎると、毎月の償却・リース負担が会員数の伸びを上回ります。装置を会員の利用で回収できないと、簡易利益率が高く見えても手残りが残りません。

  • 打ち放題会費の値下げで、客単価の天井をさらに下げる

    打席数で会員数の上限が決まっている以上、値下げした分を会員増で取り戻すのは簡単ではありません。会費を下げると、限られた打席から得られる客単価の天井そのものが下がり、利益率を回復させる余地を自ら狭めることになります。

つまずき方の型が見えると、どの費目に手を入れてよいかも分かれてきます。利益が苦しいときに削ってよいのは、客のいない時間帯の空調や照明、それに見込みを超えて積んだシミュレーター投資です。一方で、弾道計測の精度を保つ機器の保守と、無人運営を支える予約・入退室システムは、止めた途端に「打てない・予約が取れない」という不満を生み、静かな退会となって戻ってきます。同じ固定費でも、稼働そのものを支えるこの二つは別扱いにします。会費を下げて踏ん張るより先に、空いている打席をレッスンやスクールで埋めて稼働を上げるほうが、利益率を立て直す順番として理にかなっています。個人で開業する場合とフランチャイズに加盟する場合で、収益構造や本部に払う費用がどう変わるかは インドアゴルフフランチャイズの比較 を参照してください。

よくある質問

Q. インドアゴルフは何人会員がいれば黒字ですか?
固定費の水準で変わります。月会費13,000円・固定費約90万円(家賃・電気・シミュレーター保守・省人人件費・予約システムほか。リース料・借入返済は別に考えます)の3打席モデルケースでは、損益分岐はおよそ会員70人です。シミュレーターを抑えめのグレードにしたり、受付を無人化して人件費を下げれば固定費が下がり、損益分岐の会員数もさらに下がります。
Q. インドアゴルフの利益率はどのくらいですか?
本記事のモデルケースでは、会員90人で簡易利益率およそ23%、110人でおよそ37%です。ただしこれは、シミュレーターの償却・リース料・借入返済・オーナー報酬・税を差し引く前の簡易的な見方で、会計上の手残りはこれよりはっきり低くなります。装置が重い業態のため、簡易利益率の高さがそのまま現金として残るわけではありません。打席稼働率・レッスン比率・初期投資の重さで大きく変わるので、一律の利益率を当てにせず、自分の打席数と立地で収支計画を立てるのが前提です。
Q. 打ち放題の会費だけで儲かりますか?
打ち放題の月額会費は、打席数で会員数に上限があるため、それだけでは早く頭打ちになります。儲けを伸ばす定石は、個人レッスン・スクール・ジュニア育成・法人会員・ビジター利用で客単価の層を重ね、平日昼などの空き打席を埋めることです。あわせて、無人のセルフ利用なら営業時間を伸ばして延べ打席稼働を増やせます。講師が立つ時間に縛られるヨガ教室と違い、早朝・深夜まで打席を開けられるのが、この業態で稼働を伸ばす余地になります。
Q. インドアゴルフの初期投資は何年で回収できますか?
シミュレーターと内装の初期投資が重いぶん、回収には年単位の時間がかかります。シミュレーターは抑えめのグレードで1台100〜300万円、商用の高性能機では1台400万円を超えることもあり、台数とグレードで総額が大きく動きます。回収年数は会員数・打席稼働・レッスン比率・返済額で変わり、本部が公開する例にも幅があります。一律の目安を置くより、自分の打席数・客単価・固定費で収支計画を立て、無理のない返済に収まるかを確かめることが大切です。開業資金の内訳は別ページにまとめています。
Q. 無人運営にすると利益は変わりますか?
人件費は固定費の大きな部分です。受付や入退室を無人化すると固定費が下がり、損益分岐の会員数も下がります。さらに、早朝・深夜まで打席を開けて延べ稼働を伸ばせる利点もあります。一方で、レッスンや初心者対応は有人のほうが満足度と継続率が高くなるため、打席利用は無人・指導は有人、と切り分けるのが現実的です。
Q. インドアゴルフは、ヨガや24時間ジムと収益構造が何か違うのですか?
天井の正体と装置の重さが違います。ヨガ教室の天井は講師が立つ時間にひもづく客席で、講師謝金はクラスを開くほど増える変動費です。インドアゴルフの天井は打席という物理設備で、変動費はほとんどなく、無人のセルフ利用なら営業時間を伸ばして延べ稼働を増やせます。一方で、24時間ジムが多数のマシンで重い固定費を抱えるのと同じく、インドアゴルフはシミュレーターという高額な装置の償却を抱えます。打席の物理天井と装置の償却を同時に持つのが、この業態の収益構造の特徴です。

データ出典・注記

  • 会員数別の収支はモデルケース(月会費13,000円・固定費月900,000円・3打席)の目安で、収益を保証するものではありません。月会費・固定費・打席数・立地で実数は大きく変動します
  • 簡易営業利益・簡易利益率(会員90人で約23%、110人で約37%)は、シミュレーターのリース料・借入返済・オーナー報酬・税・設備償却を差し引く前の値です。会計上の手残りはこれより低くなります。設備構成の異なる他業態(フィットネスクラブ・ヨガ教室)の会計上の業界指標は、室内ゴルフにそのまま当てはめると前提が異なるため本記事では用いていません
  • 会員数の天井(3打席で約100〜110人、2打席で約60〜80人、4打席で約140〜160人)は、打席数・営業時間・来店頻度から置いたモデル前提の目安で、立地・営業時間により変わります
  • シミュレーターの価格(1台100〜300万円目安・商用高性能機400万円超)と初期投資(小規模で数百万円〜・本格内装で3,000万円超)、投資回収(年単位)は業界目安です。本記事は特定の回収期間を保証せず、自分の収支計画で個別に算定することを前提とします。各本部が公開する投資額・会員数・回収期間は当該本部の公開例であり、業界平均ではありません
  • 参考として、日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」の開業費用は全業種平均975万円(不動産賃貸業を除く全業種・公庫融資先)です。インドアゴルフはシミュレーター中心に設備が重く、これを上回りやすい傾向がありますが、店舗の規模・打席数で大きく変わります