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KICKBOXING GYM

キックボクシングジムの開業|人とコミュニティで稼ぐ業態を、どの型で開くかから考える

キックボクシングジムは、マシンや無人運営で会員を積み上げる業態ではありません。トレーナーの指導力、オーナーや選手の存在、会員同士のつながりという、目に見えない無形資産で選ばれます。

だから同じ「キックボクシングジム開業」でも、競技志向を深く育てるのか、運動不足やダイエットの層を広く取るのか、1対1の指導力で勝負するのかで、設備も指導体制も客層も初期投資も、それぞれ違うものになります。開業の流れを追う前に、まず自分がどの型で戦うかを決めます。

開業前にまず腹をくくる3点

  • 人と場で稼ぐこれは無人ジムとは逆で、指導力とコミュニティという無形資産が価値の中心になる
  • 型を先に決める競技系・フィットネス系・パーソナルのどれで戦うかで、設備も客層も初期投資も分かれる
  • 継続率は諸刃コミュニティは退会を防ぐ強みであり、同時に指導者個人への依存というリスクでもある
月会費
9,000〜14,000円
開業資金
500〜2,500万円
商圏人口
5万〜12万人
投資回収
3〜6年が目安

監修: 山本貴大(店舗マーケティング専門家) / 公開日 2026年6月5日 / 数値はモデルケース・目安

目次
  1. なぜ“設備”でなく“人とコミュニティ”が収益
  2. どの型で開くか
  3. 誰に売るかで設計が変わる
  4. なぜ格闘技ジムは「息が長い」のか
  5. 開業にいくらかかるか
  6. 物件で決まる|音・振動と手続き
  7. 無人ジムと、人で稼ぐジム
  8. テーマ別に深掘りする
  9. よくある質問
  10. データ出典・注記

なぜ“設備”でなく“人とコミュニティ”が収益の中心なのか

キックボクシングジムを「会員制のジム」とだけ捉えると、肝心なところを取り違えます。会員が通うのは、最新のマシンが揃っているからではありません。あのトレーナーに教わりたい、この仲間と続けたい。選ばれる理由のほとんどが、人と場に宿ります。リングやサンドバッグは前提としては必要でも、それ自体が会員を呼ぶわけではありません。

この業態では、トレーナーの人件費は削るべきコストではなく、価値そのものへの投資です。指導の質を落とせば、会員の満足と継続がそのまま落ちます。人件費を見積もるときの参考値の一つとして、厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag「スポーツインストラクター」が時給2,142円(短時間労働者は1,687円)を示しています。ただしキックボクシングの指導者に限った統計ではなく、業務委託の単価とも定義が違います。

受付や運営を仕組みで省力化する余地はあります。ただ、指導とコミュニティづくりまで無人化すると、選ばれる理由ごと消えます。人を置かないことを収益エンジンにする業態とは、設計思想が根本から違います。

無人の24時間ジムや格安ジム、コンビニジムは、人を置かないことで原価を下げ、会費を積み上げて成り立ちます。そこでは人はコストです。

キックボクシングジムはその逆で、人が価値の源泉になります。会費は売上の入口にすぎず、天井を決めるのは指導力と継続率です。会費の安さで競う土俵ではありません。

どの型で開くか|競技系・フィットネス系・パーソナル格闘技

物件を見に行く前に決めておくことがあります。どの型で戦うかです。キックボクシングジムは大きく3つに分かれ、狙う客層・指導体制・設備・初期投資・立地が、型ごとに大きく分かれます。

下のどれに自分を重ねられるかを先に決めると、その後の準備が一本の筋でつながります。商圏の需要は市場データで確認できます。

リングとサンドバッグが並ぶ格闘技ジムの室内。コンクリート床と高い天井、壁面に青いマット

競技・本格系(リングを構える)

リングを持たないキックボクシングスタジオの室内。木床にサンドバッグが並び、壁にミットが掛かっている明るい空間

フィットネス系(リングを持たない)

写真: 同じキックボクシングジムでも、型が違えば箱が違います。左はリングとマットで打ち合える空間を確保する競技・本格系、右はミット打ち中心で運動初心者が入りやすい明るさを優先するフィットネス系です。リングを置くかどうかで必要な坪数と床の仕様が変わり、それが下の図の初期投資の差につながります。
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 パーソナル格闘技 500〜1,200 フィットネス系 1,000〜2,000 競技・本格系 1,500〜2,500 (万円)

図: 型別の初期投資レンジ(当社モデルの目安)。設備を絞るほど下限は下がりますが、同時に売上の天井もオーナー個人の指導力に寄っていきます。金額の内訳と資金の組み方は開業資金のページで扱います。

01

競技・本格系

強くなりたい人を深く育てる型

狙う客層
試合に出たい、本格的に強くなりたい競技志向の会員。客層は狭いが定着は深い
指導体制
選手経験のあるトレーナーが核。スパーリングや技術指導を体系立てて行える体制が要る
設備
リング、サンドバッグ、マットを広めに。安全に打ち合える空間が前提
初期投資
1,500万〜2,500万円が目安
立地・補足
商圏は限られるため、近隣に競技志向の母数がいる地で開く。指導者の実績そのものが看板になる
02

フィットネス・ダイエット系

運動不足を解消したい人を広く集める型

狙う客層
痩せたい、ストレスを発散したい、運動を続けたい層。女性や初心者まで裾野が広い
指導体制
ミット打ちを中心に、未経験でも気持ちよく汗をかける指導。安全と続けやすさを優先
設備
ミット・サンドバッグ中心で、リングは無くても成立。清潔感と入りやすい雰囲気が集客を左右する
初期投資
1,000万〜2,000万円が目安
立地・補足
駅近や住宅地で、運動初心者が通いやすい立地を選ぶ。雰囲気づくりと体験導線が要になる
03

パーソナル格闘技

1対1の指導力を売る型

狙う客層
マンツーマンでしっかり結果を出したい、人目を気にせず通いたい層。単価は高い
指導体制
オーナー自身の指導力が商品そのもの。少人数で深く向き合う
設備
少坪・マットと最小限の打撃設備で開ける。設備より指導の質が価値
初期投資
500万〜1,200万円が目安
立地・補足
少資本で始めやすいぶん、オーナーの指導力と評判が売上の天井になる。多店舗化はしにくい

どの型を選ぶかは、自分の指導の強みと、商圏にいる客層、用意できる初期投資の三つの交点で決まります。型が定まると、必要な設備も、採用すべきトレーナーも、打つべき集客も自然と絞れてきます。各型でいくらかかるかの費目内訳は 開業資金の記事 、会員数と収支の見立ては 儲かるのか(収益構造)の記事 で深掘りします。

誰に売るかで設計が変わる|強くなりたい層と、痩せたい・発散したい層

キックボクシングジムには、求めるものが大きく違う二つの客層がいます。この二極のどちらに重心を置くかが、内装も指導も料金も集客も規定します。同じ業態でも、見ている客層が違えば、別の店をつくっているのと変わりません。

強くなりたい層(競技・格闘志向)

試合志向や、本気で強くなりたい人たち。求めるのは技術と稽古の濃さで、リング・スパーリング・選手育成の環境に価値を感じます。会費の安さより、誰に教わるか・どこまで打ち合えるかで店を選びます。設計は競技系に寄り、指導者の実績がそのまま集客の核になります。

痩せたい・発散したい層(フィットネス志向)

運動不足やストレスの解消、ダイエットが目的の人たち。求めるのは気持ちよく汗をかける時間と続けやすさで、本格的な打撃技術そのものは二の次です。女性や初心者が入りやすい清潔感、ミット打ち中心の安全な指導、グループの一体感に価値を感じます。設計はフィットネス系に寄り、雰囲気と続けやすさが集客を左右します。

厄介なのは、両方を欲しがると軸がぼやけることです。本格的に強くなりたい人には物足りず、気軽に汗をかきたい人には敷居が高い。どちらの層からも「自分の店ではない」と感じられてしまいます。まずどちらの客層を主役にするかを決め、その層が満足する内装・指導・料金・集客に振り切る。もう一方は副次的に取りこぼさない程度に設計する。この優先順位づけが、選ばれるジムと埋もれるジムを分けます。

なぜ格闘技ジムは「息が長い」のか|コミュニティが継続率を支える強みと、その裏側

筋トレジムは出来ては潰れるのに、格闘技ジムは息が長い。この印象には業態上の理由があります。コミュニティへの愛着が、退会を引き止めるからです。

設備で選ぶ無人ジムは、より安い店・より近い店ができれば乗り換えられます。ここで稽古したい、この仲間と続けたい、という気持ちは設備の比較では揺らぎません。人と場への愛着は、価格や立地より強い継続の源泉になります。

ただし、これは諸刃の剣です。コミュニティの中心がオーナーや看板トレーナー個人にある店ほど、その人が抜けたとたんに場が揺らぎます。続けてくれていた会員は、ジムにではなく人についていたからです。指導者個人への依存は、強みである継続率と、同じコインの裏表になっています。

設計の勘どころは、コミュニティを生かしながら、それを一人に背負わせすぎないことです。複数のトレーナーで場を支える、会員同士のつながりが自走する仕組みをつくる。この工夫が、継続率という強みを守りつつ属人性のリスクを下げます。

継続率を数字でどう守るか、会員数や損益分岐とどう結びつくか、オーナーの取り分はどうなるかといった経営の数値は、構造の話を超えるため 収益構造の記事 と オーナー年収の記事 で扱います。ここでは、コミュニティが強みとリスクの両面を持つ構造を押さえておけば十分です。

開業にいくらかかるか|型で変わる設備・内装が資金の中心

開業資金は選んだ型でレンジが大きく振れます。上の図のとおり、パーソナル格闘技で500万〜1,200万円、フィットネス系で1,000万〜2,000万円、競技・本格系で1,500万〜2,500万円が目安です。

資金の中心は設備と内装です。そこに防音と床補強という、打撃を扱う業態ならではの費目が加わります。

相場の参考として、日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」の平均975万円・中央値600万円がよく引かれます。ただしこれは同公庫が融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内だった企業を対象にした全業種の値で、フィットネス業に限ったものではありません。

キックボクシングジムは、設備の軽いパーソナル型ならこの中央値に近づき、リングを構える競技系なら大きく上回ります。型によって中央値の上下どちらにも振れるのが、この業態の資金の特徴です。

型別の費目内訳と資金の組み方を見る → / 使える補助金を見る →

物件で決まる|打撃音と振動、そして契約前に確かめる手続き

型が決まっても、物件が取れなければ何も始まりません。打撃を扱う業態は、同じフィットネスでも物件の条件が一段厳しくなります。ヨガやピラティスなら住宅の一室でも成立しますが、ミットとサンドバッグを打ち、跳ねる動きが入る空間は、そのままでは入れられない建物があります。

しかもこれは、開けてから直せる種類の問題ではありません。契約して内装を入れてから近隣の苦情が来ると、営業時間を削るか、追加の工事を負うか、移転するかしか手が残らなくなります。

音より、振動のほうが止めにくい

音の伝わり方には二つあります。空気を伝わる音と、建物の躯体を伝わる音です。この業態で厄介なのは後者です。

ジム ミット・サンドバッグ 跳躍・踏み込み 隣の部屋 下の階 空気を伝わる音 壁と天井で 減らせる 躯体を伝わる音 壁の遮音では 止まらない 床を浮かせる工事は、壁の遮音より費用も工期もかかります。 物件の構造と階を、契約前に選ぶほうが確実です。
図: 音の伝わり方の違い。空気を伝わる音は壁と天井の遮音で減らせますが、床や吊り元から躯体を伝わる音は壁を厚くしても止まりません。

ミット打ちの音やかけ声は空気を伝わるので、壁と天井の遮音で下げられます。一方、サンドバッグの打撃と、ステップやジャンプの踏み込みは、床や、バッグの吊り元・固定部から建物の躯体に入ります。これは壁を厚くしても止まりません。下の階だけでなく、斜め下や離れた住戸に響くこともあります。

対処するなら床を浮かせる工事になりますが、費用も工期も壁の遮音より重く、原状回復の負担も増えます。工事で解くより、構造と階で選ぶほうが確実です。1階か、直下が店舗・駐車場か、鉄筋コンクリート造か。この3点で、後から負う工事の量が大きく変わります。

国の騒音規制法・振動規制法は、通常の運営音を対象にしていない

意外に思われるかもしれませんが、騒音規制法と振動規制法が規制するのは「特定施設」で、これは政令で定める施設に限られます。実際に政令の別表に並んでいるのは、金属加工機械・空気圧縮機・土石用の破砕機・織機・木材加工機械・印刷機械といった工場の機械です。ジムは入っていません。

つまり、ミット打ちやステップの音そのものが、この2つの法律の届出の対象になるとは考えにくいということです。ただし、規制がないという意味ではありません。

まず、対象は業種ではなく設備単位で決まります。定格出力7.5キロワット以上の送風機や空気圧縮機のような機械を入れるなら、そこで対象になる余地は残ります。また両法は工事の音も「特定建設作業」として別に扱います。こちらも政令で定める作業の列挙なので、内装工事のすべてが当たるわけではありませんが、該当する作業を伴うなら工事側の届出として確認が要ります。

そのうえで、日々の運営で実際に効いてくるのは次の3つです。

  • 自治体の条例。生活環境の保全に関する条例で、事業活動に伴う騒音の基準を時間帯・地域ごとに定めている自治体があります。内容は自治体ごとに違うので、物件のある市区町村で確認してください
  • 賃貸借契約の用途制限と管理規約。法令より先に、契約で禁じられていれば入れません。「スポーツ施設不可」「音を発する業種不可」と書かれている物件は珍しくありません
  • 近隣との関係。条例の数値を満たしていても、苦情が続けば営業時間の見直しを迫られます。実務でいちばん効くのはここです

200平方メートルを超えると、用途変更の確認申請が要ることがある

音とは別に、もう一つ物件で引っかかるのが用途です。建築基準法は建物の用途ごとに求める性能を変えていて、そこには「スポーツの練習場」という区分があり、学校や体育館と同じグループに置かれています(建築基準法施行令第115条の3第2号)。ジムという語が条文に並んでいるわけではありませんが、キックボクシングジムはこれに該当する可能性が高い用途です。

事務所や物販店だった部屋をジムにするのは、法律上の「用途変更」にあたります。用途を変更してこの区分の特殊建築物とし、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超える場合は、確認申請の手続きが必要になります(建築基準法第87条第1項が第6条第1項第1号を準用)。

200平方メートルはおよそ60坪です。本サイトが収益モデルに置いている30坪(約99平方メートル)のフィットネス系なら下回りますが、リングを構えて広く取る競技・本格系では超えることがあります。手続きが必要になると、申請の費用と期間、そして既存建物が現行の基準に適合しているかの確認が開業スケジュールに乗ってきます。

なお、200平方メートル以下で不要になるのは用途変更の確認申請だけです。内装制限や避難のルール、用途地域の制限、地方の条例は別に残ります。該当するかどうかは既存の用途・面積・地域で変わり、類似の用途どうしの変更は除かれるなど例外もあります。物件の目星がついたら、契約の前に建築士か特定行政庁に確認してください。

消防は、内装を決める前に相談しておく

建築とは別の窓口として、消防があります。消防法施行令の別表第一に「運動施設」という項目はなく、ジムは(十五)項の「前各項に該当しない事業場」に入るのが一般的です。飲食店や物販店のような不特定多数が出入りする用途より、基準はいくらか緩くなります。ただし、飲食やプロテインバー、物販、浴場、観覧席、託児を併設すると別の項が絡み、複合用途として扱われることがあります。

そのうえで、押さえておくことがいくつかあります。1つめは防火管理者です。(十五)項の防火対象物は、収容人員が50人以上になると防火管理者を選任して届け出る必要があります(同令第1条の2第3項第1号ハ)。この人数は在籍会員数でも、その日の来館者数でもありません。(十五)項では従業者の数に、主として従業者以外が使う部分の床面積を3平方メートルで割った数を足して算定します(消防法施行規則第1条の3)。トレーニングフロアが80平方メートルなら、80÷3で26人分と数えます(端数は切り捨てる運用が一般的です)。

ここで注意したいのは、判断の単位が自分の区画ではないことです。ビルに入るなら、要否は建物全体の用途と収容人員で決まり、必要な建物では所有者と各テナントがそれぞれ選任することになります。自分の区画だけで50人に届かないから不要、とは限りません。

2つめは使用開始の届出です。多くの自治体の火災予防条例で、建物や区画を新たに使い始めるとき、使用開始の一定日数前までに消防署へ届け出ることが定められています。東京都の場合は7日前までです。テナントの入れ替えや改装の後も対象になります。

3つめは工事に入る前の届出です。間仕切りを立てる、天井を張る、内装を変えるといった工事は、多くの自治体で工事の着手前に届け出る対象になります。東京都では「防火対象物工事等計画届出書」を着手の7日前までに出します。使用開始の届出とは別に、工事の前段でもう一つあるということです。

間仕切りを立てると、既存の自動火災報知設備の感知器や誘導灯の位置が合わなくなることがあります。感知器や誘導灯を増やしたり移したりすれば、工事の着工届や設置届がさらに別に必要になります。届出は1つではなく、工事の内容に応じて積み上がっていくと考えておいてください。

内装の図面ができてから相談すると、やり直しになります。物件が決まった段階で、所轄の消防署に図面を持って相談してください。要否も届出の名称も自治体の条例で変わるので、必ず所轄で確認してください。

物件を決める前に確認すること

内見のときに、次を貸主や管理会社に確認しておきます。「あとで防音すればいい」で進めると、見積もりが出た時点で予算が壊れます。

建物の構造

木造や軽量鉄骨は、鉄筋コンクリート造より振動が伝わりやすくなります。募集図面に構造が書かれていない場合は、必ず聞いてください。

階数と、直下に何があるか

1階で直下が地面なら、下の階への影響は大きく下がります。ただし隣の区画や上階へは、柱や梁、バッグの吊り元を通じて伝わります。直下が店舗や駐車場なら住戸より条件は緩みます。上階で直下が住戸だと、床の工事が前提になります。

賃貸借契約の用途と、管理規約の禁止事項

「スポーツ施設不可」「音を発する業種不可」と定められていないか。契約書と規約の両方を、申し込みの前に見せてもらいます。

営業できる時間帯

会社帰りの20時台から22時台がこの業態の稼ぎ時です。その時間に営業できない物件は、型を問わず採算が変わります。

実際に音が届くか

内見のときに、上下階や隣室で人に聞いてもらいながら、床を強く踏む・壁を叩くなどで確かめます。図面では分かりません。

現在の用途と、床面積の合計

登記や検査済証にある用途と、実際に使う部分の床面積。200平方メートルを超えるなら、用途変更の手続きが要るかを先に確かめます。

消防用設備と、既存の届出の状況

自動火災報知設備・誘導灯が入っているか、直近の点検や届出がどうなっているか。間仕切りを立てると位置が合わなくなることがあるので、内装の図面を描く前に所轄の消防署へ相談します。

原状回復の範囲

防音や床の工事をどこまで残せるか、退去時にどこまで戻すのか。ここを詰めずに工事すると、退去時の負担が読めなくなります。

型を決めてから物件を探す、という順序で説明されることが多いのですが、実際には物件の条件が型を制約します。リングを置ける天井高と床が取れなければ競技系は成立しませんし、直下が住戸なら夜のスパーリングは難しくなります。物件を見ながら型を詰めるほうが、現実に近い進み方です。費目ごとの内訳は開業資金の記事で扱っています。

無人ジムと、人で稼ぐジム|自分はどちらに向くか

フィットネスで開業を考えるとき、無人で会費を積み上げるジムと、人とコミュニティで稼ぐジムは、向いている人がはっきり分かれます。フィットネスビジネスナビは無人ジム族も別途扱う横断メディアなので、ここでは中立に方向づけだけしておきます。

キックボクシングジムが向く人

  • 自分の指導力か、信頼できるトレーナーを採用して指導の質を担保できる
  • 選んだ型に応じた500万〜2,500万円の投資と、回収の道筋を描ける
  • 会員数と継続率を数字で見ながら、コミュニティを育てる運営ができる
  • 商圏に競技志向か、運動不足・ダイエット層がいる立地を選べる

無人ジムのほうが向く人

  • 人手をかけず、会費だけで成り立つ構えで小さく始めたい
  • 指導やコミュニティづくりより、立地と設備で会員を集めたい
  • 自分の指導に依存せず、仕組みで回して多店舗化を狙いたい

指導力やコミュニティづくりが武器で、人と場で価値を出せるならキックボクシングジムが向きます。逆に、人手をかけず会費だけで小さく始めたいなら、本格マシンを置いて無人で運営する 24時間ジム や、より低価格で勝負する 格安24時間ジム のほうが現実的です。同じフィットネスでも、稼ぎ方の根っこが逆なので、自分が「人で稼ぎたいのか、仕組みで稼ぎたいのか」を先に決めると、迷いが減ります。

よくある質問

キックボクシングジムの開業資金は、型でどれくらい変わりますか?
誰に何を売るかで大きく変わります。設備を絞って1対1で売るパーソナル格闘技なら500万〜1,200万円、ミット打ち中心で運動不足層を広く取るフィットネス系で1,000万〜2,000万円、リングを構えて競技志向を深く育てる競技・本格系で1,500万〜2,500万円が目安です。リング・サンドバッグ・防音・床補強といった格闘技固有の設備をどこまで持つかが総額を分けます。費目の内訳と資金の組み方は開業資金の記事で扱っています。
無人ジムのように、会費だけで成り立つ業態ですか?
同じ会員制でも、稼ぐ仕組みが逆です。無人の24時間ジムは人を置かないことで原価を下げ、会費を積み上げて成り立ちます。キックボクシングジムは、トレーナーの指導力や会員同士のコミュニティという、人と場が価値の中心です。会費は売上の入口ですが、売上の天井を決めるのは指導の質と継続率で、ここに人件費という形で投資するのがこの業態です。会費だけを見て無人ジムと同じ感覚で捉えると、必要な体制を見誤ります。
未経験・無資格でも開業できますか?
指導そのものに法的な資格は原則として要りませんが、安全に打撃を教える業態のため、指導者の実績や体制が信頼に直結します。未経験でも、競技経験のあるトレーナーを採用して開く例はあります。競技団体のライセンスや指導歴は、安全管理の裏づけであると同時に、誰に教わるかを重視する客層への集客の核にもなります。最新の要件は提供するスタイルや所属する団体で異なるため、各団体の公式情報で確認してください。
競技系とフィットネス系、どちらを選ぶべきですか?
狙う客層で決まります。強くなりたい競技志向を深く取るなら競技系、運動不足やダイエットの層を広く取るならフィットネス系です。両方を欲張ると、内装も指導も料金も中途半端になり、どちらの層からも選ばれにくくなります。自分の指導の強み、商圏にいる客層、用意できる初期投資から、まずどちらに重心を置くかを先に決めるのが現実的です。
なぜ格闘技ジムは「息が長い」と言われるのですか?
会員同士やトレーナーとの関係性、つまりコミュニティへの愛着が、退会を引き止めるからです。設備で選ぶ無人ジムは乗り換えられやすい一方、ここで稽古したい・この仲間と続けたいという気持ちは、簡単には他店に移りません。ただしそれは、指導者個人への依存という裏側も持ちます。オーナーが看板の店ほど、その人が抜けると場が揺らぎます。継続率という強みと属人性というリスクは、同じコミュニティの表と裏です。

データ出典・注記

  • フィットネス市場規模(年間売上〈収入〉約5,040億円・うちBtoC約88%)は、経済産業省・令和3年経済センサス活動調査(2021年調査・売上は2020年実績・民営事業所総数)の数値です。市場規模の推移は市場データで扱っています
  • 開業費用の参考値(平均975万円・中央値600万円)は、日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(調査時点2025年8月・融資時点で開業後1年以内だった企業から回答2,165社)に基づきます。これは全業種(公庫融資先)の値で、フィットネス業に限定したものではありません。キックボクシングジムは設備の軽いパーソナル型なら近づき、リングを構える競技系なら上回ります
  • トレーナーの時給(一般労働者2,142円・短時間労働者1,687円)は、厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「スポーツインストラクター」(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)によります。同サイトが「必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」と注記しているとおり、キックボクシングの指導者に限定した統計ではありません。時給は一般労働者が残業代・賞与を含む額、短時間労働者が所定内の額で定義が異なります
  • 月会費・型別の開業資金・商圏人口・回収期間などの数値は、公開情報を参考にしながら当社がモデルのために置いた前提値です。利益・採算を保証するものではありません
  • 型別の開業資金は、設備構成・坪数・物件で実数が変動します。本ページのレンジは標準的な目安であり、特定の店舗の実績を示すものではありません
  • 指導に必要な資格・団体ライセンスは、提供するスタイルや所属する団体で異なります。最新の要件は各団体の公式情報でご確認ください
  • フランチャイズに加盟する場合の加盟金・ロイヤリティ・加盟条件は本部ごとに異なります。最新条件は各本部の公式募集要項でご確認ください